職場の「やりがい感」を高めるために。その1:「肯定」するってなに?

    先のブログにて、職場の活性化を図っていく上で「やりがい感」を高めることが、重要なポイントとなるとお伝えしました。では、その「やりがい感」を高めるには一体どうすればいいのでしょうか?

 

「やりがい感」は個々人の多種多様な価値観のなかにありますから、一概にこれを充実させれば、たちまちアップするというものは見つかりづらいと思います。しかし、「やりがい感」に影響度の大きい要素としては、「業務要素」「上司要素」「同僚要素」「会社要素」「お客さま要素」などがあると思います。

 

例えば、「業務要素」でいえば、「成功体験をした」や「目標を達成した」、「仕事が面白い」、「スキルアップできた」、「キャリアアップできた」、「専門性が確立できた」等々があるでしょう。

 

また「上司要素」でいえば、「明確な指示アドバイスがある」、「公正な評価をする」、「信頼感がある」、「的確なマネジメントを行う」、「手本となるリーダーシップがある」、「的を得た肯定」等々があると思います。このように「やりがい感」に関わる要素というのは、非常に多岐にわたって存在しています。しかし、この要素の中でも共通するポイントがいくつかあると考えます。

 

その1つとしては、まず「相手を肯定していくこと」が大切なポイントになります。相手を「肯定」するとは、その人がそこに存在していることを「認める」ということです。あなたが、そこにいることをちゃんと私はわかっていますよ、というメッセージを送ることが、目の前の相手を「肯定」することになるのです。

 

 ではどうして「肯定」することが「やりがい感」に関係してくるのでしょうか? なぜなら、私たちは潜在意識の中で常に「肯定を求めている」からです。私たちは原始の頃から周囲の仲間と協力関係を結ぶことで生き抜いてきたからです。1人では獣やマンモスを倒すことはできません。あっという間に自分が餌になってしまいます。仲間と協力して獣を仕留めていたのです。

 

その協力関係の歴史が私たちのDNAに刻まれているのです。だから、常に自分が周りの人たちとの協力関係の「輪の中」に入っているかどうか、が重大な問題なのです。「輪の中」から外されたら生きていけないという感覚が記憶されているのです。

 

 つまり、誰でも「自分がこの職場の協力関係の輪の中にちゃんと入っているかどうか?」を、深い潜在意識下で絶えず確認したいという「欲求」を持っているのです。会社という「場」で、「自分は役に立っている」とか、「チームの1人として認められている」という確かな「証」を、身近な上司や同僚から得たいのです。それを得ることで安心して目の前の仕事に全力で取り組むことができるからです。

 

 では、相手を「肯定」するにはどうしたらいいのでしょうか? それは非常に簡単です。例えば、「散髪してきたのか。さっぱりしたね」とか「わかりやすいプレゼンだったね」とか「今の商談、感心したよ」など、観察したことや成長したこと、成果を出したことを、そのまま素直に伝えればいいのです。

 

 また、「肯定」には3つの種類があります。1つは「存在肯定」です。その人がそこに存在していること自体を認めるということです。例えば、「声をかける、挨拶する、話にうなずく、名前を呼ぶ・・」などです。

2つめは「行為肯定」です。これは相手がなんらかの望ましい行動や期待していた行動を行った時に伝えるメッセージです。例えば、相手の行為を見て「いつもながら行動が早いね」とか、「うまくできるようになったね」とか、「そう、その調子!」というようなメッセージです。

 

 3つ目は「結果肯定」です。これは相手がなんらかの成果や結果を出した時に肯定するメッセージを伝えることです。例えば、「目標を達成できた」とか「プロジェクトが完了した」とか「会議で大役を果たした」というような時に、その場で即伝えるメッセージです。例えば、「やったね!」とか「君ならできると思ったよ!」とか「遂に記録更新だね!」というようなメッセージです。

 

 

 ただ、相手を「肯定」する場合には注意も必要です。ひとり一人に適した「肯定」を行うということです。ズレた「肯定」の仕方では意味がありません。なぜなら、人は感じ方も多様だからです。

自分が感じているように他人も感じているとは限らないからです。ある人が、沈む夕日を見て「なんてきれいだろう!」と思えば、隣の人は「なんて物悲しい光景だろう」と思っているかもしれません。

 

コミュニケーションスタイルでいえば、プロモータータイプの人は、全員の前でほめられると大変気持ちがいいでしょう。でも、アナライザータイプの場合は、全員の前ではなく、1人でいるときにほめてもらうほうが、うれしいという人もいるのです。

相手がどんな「肯定」を望んでいるのだろうかというのは、相手の言動を参考にして、コミュニケーションタイプを推定したりする等、普段から観察しておくことが大切です。

 

 

 そして、相手に望ましい行動や期待していた行動が出たら、即肯定するのです。時間が経ってから「先週のプレゼン良かったな」と言われても遅過ぎます。効果は半減してしまいます。60秒ルールというのがあって、その行動の60秒以内に肯定すると確実に相手に伝わりモチベーションアップにつながります。 

 

職場においては、上司が部下に肯定を与え、また仲間同士で肯定を行っていくことで、お互いがお互いを必要としていること、自分の存在が周囲に認められていることを確認でき、目の前の自分の業務に不安なくエネルギーを注ぐことができるようになります。

 

 

いかがでしょう。改めてもう一度、相手を肯定するということを始めてみませんか。そして、そのことは「返報性の法則」に則って、必ずあなた自身に帰ってくるのです。あなたも相手から肯定されるようになりますよ。

これまでの著書一覧

現在までに書籍化された著書をご紹介させて頂きます。


普通のサラリーマンでもできる!「週末コンサル」の教科書

「週末コンサル」とは、サラリーマンが平日の夜や休日を使い、自分の経験や知識を活かしてコンサルティングをすることです。元手ゼロで始められ、「会社以外にも収入源をもち、ゆくゆくは独立もしたい。でもリスクをとるのはいや」というサラリーマンに最適。 本書では自分の「強み」の見つけ方から、サービス・メニューの開発法、「刺さる営業ツール」の作り方、成約率が高まるプライスリストの作り方、顧客獲得法まで徹底解説しています。

出版社:PHP研究所

価格:¥1400

「週末コンサル」とは、サラリーマンが平日の夜や休日を使い、自分の経験や知識を活かしてコンサルティングをすることです。元手ゼロで始められ、「会社以外にも収入源をもち、ゆくゆくは独立もしたい。でもリスクをとるのはいや」というサラリーマンに最適です。

 

本書では自分の「強み」の見つけ方から、サービス・メニューの開発法、「刺さる営業ツール」の作り方、成約率が高まるプライスリストの作り方、顧客獲得法まで徹底解説しています。



最強チームを作るリーダーの条件

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥500 電子書籍

近年、「個」を基本とした成果主義は日本企業にすっかり定着した感がある。そんな中で成果主義を基本としながらも、チーム単位でメンバー一人ひとりのコミュニケーションを図り、チームとしての目標を達成し続けている職場が頭角を現してきている。


ふりかえってみると、我々日本人は仲間と協力しながら高い目標をクリアしていくやり方が得意であった。
今日、今こそ「チーム」として個々人が協力し合い、チーム目標を追いかけるやり方こそが、「個人」と「チーム」がともに生き生きと輝き、自走していく職場づくりの肝なのである。



うなづき力〜部下をやる気にさせるオヤジ管理職マニュアル33

出版社: ナナ・コーポレート・コミュニケーション

価格:¥ 1,365 

この本はズバリ、私のコンサルティング成果をご紹介してる著書です。

私が日産自動車(株)にいた時に、ある関東郊外の系列自動車ディーラー店舗様の業績アップ、経営改善を担当しコンサルティング&コーチングを行いました。

 

この店舗様は、それまで全社で業績40位と万年低迷店舗でした。私は「店舗まるごとコーチング作戦」というコンサルティング方法を開始しました。その後、8ヶ月後にベスト8位に浮上し、9ヶ月後にベスト5位、そして10ヶ月後にベスト3店舗にまで浮上しました。「うなずき力」は、このプロセスとノウハウをまとめたものです。 

 

小売店のコンサルティングをされておられるコンサルタントの方々に高い評価を頂いている書籍です。



若い人がワクワク、キビキビ動き出す!上司のためのコミュニケーション技術

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥300 電子書籍

いよいよ「ゆとり教育」を受けてきた世代が企業の職場に増えてきました。豊かな時代に育ってきた「ゆとり世代」社員は、上司世代とは価値観やものの考え方の温度差が大きいというのも事実です。

 

今後、ゆとり世代社員は、ますます職場に増えてきます。彼らを戦力にしなければなりません。「それはわかっているけれど、うちのゆとり世代社員はいくら言っても動かない・・」という上司の悩みにお答え致します。若い部下と上手に付き合いたいと思っている方、若い人の育て方を学びたい方、新人教育を担当している方、ゆとり世代社員との間に考え方や価値観にギャップを感じている方へ。

 

コンサルタントの方々からは、クライアント企業で現場マネージャーやスタッフを動かしていくうえで非常に参考になったと好評を頂いています。



ビジネスで成功する人が身につけている気くばりの極意

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥300 電子書籍

今日のビジネスシーンでは、あらゆる場面でCS(お客様満足度)が重要視されています。それゆえ消費者は、誰もが常に心地よい状態を求めるようになっています。人と人との間におけるCSとは「気くばり」を意味します。

 

CSレベルもある程度以上でないと認識されないのと同じように、「気くばり」もあるレベル以上が必要なのです。ここに重要な意味が隠れています。それは「気くばり力」を、もう1段階レベルアップさせることで一気に皆の注目が集まるということです。 これまで約200店舗における現場での指導やアドバイスを行ってきた中で、「できる人」に共通していることに気が付きました。それは皆「気くばり」が素晴らしく上手な人だということです。「気くばり力」こそ成功を呼び込む鍵なのです。

 

コンサルタントの方々からは、クライアント企業の現場で一瞬で現場マネージャーやスタッフと関係構築を図る上で非常に参考になったと好評を頂いています。



定年前後の人のための「講師デビュー」入門

出版社: 同文館出版

価格:¥ 1,470

この本は、私がクライアント企業にコンサルティングで伺っている際に、現場のマネージャーや店長の方々とお話をしている時に思いついた本です。店長やマネージャーの方々が現役時代の知識や経験をフル活用すれば講師になって活躍すこともできると思ったからです。 

 

特に 定年を迎えてからデビューしセミナー講師として活躍するためのノウハウをまとめました。自分の「いちばん得意なこと」を話して生きがいと収入を手に入れようという考え方です。講師になれば、これまでのビジネスマン人生で長年に渡って培ってきた「知識」「技能」を他人に伝えることができます。人に伝える、という行為からは大きな充足感が得られます。また自分の存在感を認識することもできます。それが「生きがい」にもつながっていくと思うのです。私自身の経験にもとづいた具体例を交えながら分かりやすく解説しています。

 

コンサルタントの方々からは、非常に参考になる部分(オンリーワンテーマの発見方法、コンサルタントの名刺の作り方、等々)があると好評を頂いています。